本の内容 of 究極の愛について語るときに僕たちの語ること

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これもみんな、愛。

障害者と風俗嬢のカップル? レズビアンの大恋愛? ネット上だけの恋? ラブドールとの同棲生活?
どれもまともな話じゃない。でも、なぜだろう。読みながらいちいち泣きそうになる自分がいる。

「マイノリティ」という言葉にカテゴライズされる人々。
では、世間一般の「ふつう」とは違う彼らの恋愛は、ほんとうに「ふつう」ではないのだろうか? 僕たちが感じる「愛」と、違うところがあるのだろうか? 純粋に、何かを愛することに、人が共感できないなんてことはあるんだろうか?
驚くほど純粋で、叫びたくなるくらい突き刺さる。
そんな彼らの「究極の愛」を、真正面から描き切る、ずっしりとした読後感を味わえる渾身のノンフィクション。

愛情があれば、幸福なしでも生きていける―

プロローグを読む

本書の目次

1 最強のふたり?

恋人は障害者

赤い電動車椅子に乗った男が、京王井の頭線・駒場東大駅の駅前にたたずんでいる。彼の名は熊篠慶彦、四四歳。生まれついての脳性麻痺のため、両手両足がほとんど動かない。僕は熊篠と一緒に、彼の恋人である風俗嬢のはるを待っていた。
車椅子の男と風俗嬢。この強烈な組み合わせのカップルは、いかにして誕生したのだろうか。二人の出会いから現在に至るまでを、僕は追った。究極の愛をめぐる冒険は、ここからはじまった。

2 レスボスの少女たち

異性しか愛しちゃいけないって、誰が決めたの?

千尋は、幼い頃から同性しか愛せなかった。初恋の相手は女性。はじめての相手も女性。そんな彼女は高校を中退してひとり上京した。アルバイトに明け暮れる日々のなか、出会ったのはひとりの孤独な少女だった。
孤独を抱えたふたりの少女。惹かれあうふたりは、やがてひとつになった。恋人同士としての、甘い、甘い日々。だがそれは、つかのまの夢なのか――。

3 百パーセントの夫婦

お見合い結婚、それから

お見合い結婚をして38年。有馬夫妻は、僕を自宅に快く招き入れた。お見合い結婚。ドラマのなかでのイメージしかない、現代からみると不思議なシステム。はたしてそんな形式で生まれた夫婦に、愛はあるのだろうか? どこかで、愛が生まれ「百パーセントの夫婦」になるタイミングはあるのだろうか。
彼らの話を聞くうちに、僕のなかにあった物語は、おおきく進路を変えた。

4 オンラインの愛

もしも、ネット上でしか恋愛感情を抱けなくなったなら

現実の恋よりも、ネット上の恋がいい。「とってもピュアな自分でいられるんです、オンラインだと」そうマユミは言った。
生身のやりとりに疲れ、オンラインの恋愛にのめりこんでいく女。ケーブルを通って、世界につながる愛。彼女がオンライン上で求めたものとは、いったいなんだったのだろう。新世代の、愛のかたちに迫る。

5 白雪姫を待ちながら (試し読みできます!)

植物状態の妻を介護しつづける男

枕に顔をうずめ、うつぶせで眠っている明美を見て、福田は思わず声をかけた。
「よくうつぶせで寝られるねぇ」
「……私は昔からうつぶせでも寝られるんだ」
寝ぼけた声で返事が返ってきた。それが、ふたりが交わした最後の会話になった。
妻が倒れて、7年以上が経った――再び目覚めることを信じて介護を続ける男は、何を思うのだろうか。


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6 原子番号14番の恋人

ラブドールへの愛

「わたしは、ゴムの匂いのする人形です。わたしには命はありません。わたしには心がありません」
ラブドールとのやりとりをWEB上で公開している男、ノリオ。彼はとびきりロマンティックな完璧主義者だ。ネットの世界で、彼の恋人は言葉を得て、解き放たれる。彼とラブドールとのつながりを掘り下げてみると、それは僕が思っていたよりもずっと強く、深く、美しいものだった。

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